クレアチニン値を把握して腎不全や人工透析を予防する

腎不全や人工透析にならないためにクレアチニン値に注意!

クレアチニン高値と低値

クレアチニンは、腎機能の状態の指標として重視される数値です。クレアチニンの基準値は、男性であれば1.00mg/dL、女性であれば0.70mg/dLと、上限だけが設けられていますが、実はクレアチニン値が低すぎるのも大きな問題が隠されている場合があります。

ちなみに、少し前まではクレアチニンの基準値には下限も設けられており、男性であれば0.50mg/dL(当時の上限は1.10mg/dL)、女性であれば0.40mg/dL(当時の上限は0.80mg/dL)でした。しかし現在では、クレアチニン値に関するガイドラインの改定があり、下限値が削除され、上限値が下方修正されています。

クレアチニンというのは、本来腎臓でろ過されて尿として排出されなければならない血中の老廃物の一種で、そもそも血中に検出されるべきではない物質であると説明されることが多いです。それだけに、基準値を上回っているということは、腎機能が損なわれている可能性が考えられることになります。

しかしあまりにもクレアチニン値が低すぎるのも実は問題で、場合によっては筋ジストロフィーなどの指定難病などにかかっている可能性も考えられます。クレアチニン低値でひっかかる人はそこまで多くはないことから、ガイドラインから削除されたと思われますが、念のため低値にも注意しておく必要があるといえるでしょう。

クレアチニンが腎疾患の問題になるわけではない

クレアチニン値が高いと、腎疾患にかかっている可能性があると説明されます。実際、可能性という意味では、このことはまさにそのとおりであるといえます。とはいえ腎臓も生体の一部ですから、クレアチニンが多少高値になったり低値になったりすることがまったくないわけではありません。

しかし、大幅に基準値を超える高値、低値になったり、長期的に基準値外になったりというケースでは、本格的に腎機能の低下(高値)や筋肉疾患(低値)などのリスクを警戒する必要があります。実際、クレアチニン値が高い人には、急性腎炎や慢性腎炎、腎盂腎炎(じんうじんえん)などの腎疾患が見られる可能性が極めて高いです。

これらの腎疾患を放置することで、最悪の場合、人工透析が必要な腎不全のレベルにまで事態が悪化することも考えられます。そうなると、治療は困難なので、できるだけ早く治療にかかることが望まれます。

とはいえ、クレアチンそのものが腎機能を低下させているわけではありません。ろ過により老廃物を漉し出すのが腎機能なので、クレアチニンが高いということは、腎機能が下がっていることが理由であると考えられるのです。つまり、腎機能が低下している原因がクレアチニンにあるのではなく、クレアチニンが高くなる原因が、腎機能の低下にあるのです。