クレアチニンの基準値の意味とは?
クレアチニンにしても別の数値にしても、必ず基準値(正常値)とされる範囲があります。今回はクレアチニンについて考えますが、どんな数値にしても、基準値を超えたらすぐに何らかの疾患にかかっていると診断されるわけではありません。
というのも、基準値・正常値というのは、誰もがふつうに受けることができる健康診断において注意喚起を行うために設けられた値だからです。要するに、便宜的な数値なのです。ですから、基準値・正常値をちょっと飛び出したからといって慌てふためく必要はありません。
ただし、注意しなければならない状況であることは間違いありませんので、基準値・正常値をほんのわずかでも飛び出していたら、治療というよりは予防の意識を高める必要があります。クレアチニンの場合は腎機能の低下を示す可能性がある数値ですので、もし基準値・正常値をわずかに出る結果だったのであれば、食生活や運動習慣を見直すきっかけとしていただき、将来腎不全や人工透析といった状況を招かないように予防していただきたいと思います。
ただし、クレアチニン値が明らかに大きく基準値・正常値から逸脱している場合は、予防を云々していられるレベルではない可能性が大きいといわなければなりません。つまり、ただちに何らかの治療を行わないと、腎不全や人工透析のリスクがより高くなると考えられるのです。
腎不全や人工透析のリスクを具体的にイメージできるクレアチニン値
クレアチニンの基準値・正常値は、男性/女性それぞれが、1.00mg/L以下/0.70mg/L以下です。ですからたとえば男性が健康診断を受けて、クレアチニン値が1.05mg/Lだったとしても、なんらかの予防などの対処が必要ではありますが、すぐに腎不全を心配したり人工透析を心配したりする必要はありません。
ただし、たとえば男性の健康診断でクレアチニン値が3.00mg/Lだったとしたら、これは非常に危険であるといわなければなりません。クレアチニン値と人工透析のリスクの明確な因果関係が証明されているわけではありませんが、クレアチニン値が3.00mg/Lにまで達しているとすると、この時点ですでに腎機能の80%以上が損なわれている可能性が高いのです。
人工透析治療は、腎機能が正常な腎臓の10%以下を目安として実施されます。クレアチニン値が3.00mg/Lの男性は、腎臓が20%以下しか機能していない可能性が高いです。もちろんクレアチニン値だけで腎不全かどうかの判断が下されるわけではありませんが、自覚症状が比較的起こりにくい腎疾患の場合は、健康診断のクレアチニン値の異常で発覚することも少なくありません。